私は古本屋。そして全古書連(いわゆる古書組合というやつ)加盟店でございます。
組合に加盟している古本屋は、一応全国で開催している業者市、いわゆる「市場」あるいは「交換会」というやつに参加出来ることになっております。古本屋が売りに出したモノを古本屋が買うわけです。それは限定品などの一点ものから一口で数百冊単位の嵩の張るモノなどまで。本だけじゃなくCDやDVD、レコードなどののメディアや美術品、骨董品、マッチラベルやトレーディングカード、チラシやスクラップなどの紙もの、おもちゃや雑貨、ありとあらゆる古物が売買されています。
東京ではあちこちの支部が毎日のようにそういうのを開催しとるわけですね。地方組合はというとその規模にもよるのでしょうが、我々の所属してるところは月に一回開催なのです。というわけで12月某日、2024年最後の古書交換会が行われました。
ウチがここ3ヶ月ほど取り掛かっていた某氏の遺品蔵書案件も今回の出品でいよいよ最後、2万冊くらいはあったかなあ。整理されておらず仕分けにもたいそう時間をかけたのだけどこれで終りとなるとなんだが早かった気もしてくる。配送業者の大型トラックで集荷してもらって、全部運び出しすることが出来た。あとは売れてくれれば言うことなし。逆に言えば売れ残って持ち帰る自体だけは避けたいのだ。
さて開場、ざっといろいろ見て回る。目玉になるような出品はとくにないが、少し気になるものもある。ウチの客層的にもきっとアピールするであろう写真関連の数冊の口が目に付く。これは化けない(想定以上は儲からない)んだけどテッパンアイテムも入ってるし買っておきたい。あっちの文芸書の口は冊数もそこそこ、多分単価はさほど高くないけどなんとなく筋がよさげで催事に持っていきたくなる、状態もきれいだし。こっちの文芸書は均一本コーナーが大半だろうけど、数冊「ウチの棚のあの辺に、これとこれを並べたらいいだろうな」と思って惹かれてしまった。それぞれの思惑や期待をこめて入札する。
それぞれの出品物を見ながら入札するかどうかを吟味するのだけど、流れで見ているとだんだんパッと見の印象ばかりが強くなってくる。全体としてはそうでもないけど、どうしても目についた数冊が欲しくてそれのために入札してしまったり(さっきのの文芸書2もそれだ)。開場から1時間かそこらの短時間ですべてをじっくり見ている余裕はない。ざっとしか見て回れない。それがまた良くも悪くもドラマを生む(?)ことになる。ちゃんと見たらもっと高い金額で入れたはずのものを見逃して他店にさらわれてしまって後悔したり、「他の人はチェックしてなそう」と油断して入札額をそこまで頑張らなかった「弱い札」で負けてしまって後悔したり。まあ古本屋でよく言われるのは「買わずに後悔より買って後悔しろ」という。買えたらなんだかんだ納得するんですよね。なんでこれ買ったんだろう?ということもあるんだけど買えたら忘れてしまうことが多いというのもあるのかも(笑)
さてあっという間に時間に。結果は入札したものはまずまず上々。美術・カメラなどの口を落札、写真集はK堂の御子息と競って辛うじて落札(買って後悔しようと思って強気に入れて結果正解だった)、文芸書、音楽書なども落手。これも催事に持っていきたかった鉄道関係は落札出来ず。
一方で出品した物は苦戦するも、最終的になんとか全部売りさばくことに成功(もう金額じゃなくて処分出来たらいいという感じ)。これで片付け案件も終了。
あとは催事のために買った本を早めに準備しなきゃ。気がつくと1月に組み込んだ催事までもうほとんど時間がない(笑)なんのために買ったのかということにならないようにセねばイカンわけです。正月休みのんびりしてる暇ないかもな…と急に冷静になるきぜふらであった(続く)